カクテル作りのベース・一般的なお酒の基礎「ラム」
ラムの製法や特徴
サトウキビが原料。別名「モラセズ・スピリット」
サトウキビを原料とし、搾り汁を煮詰めて砂糖を取り除いた糖蜜(モラセズ)か、搾り汁を水でうすめたものを、発酵、蒸留して、オーク樽etcで熟成させたり、またはそれを活性炭でろ過したもの。
ラムの歴史とエピソード
カリブ海の西インド諸島で、17世紀初め頃に誕生。
インドのガンジス川流域が原産といわれるサトウキビは、コロンブスの新大陸発見以降、西インド諸島に移植されていった。ラムの誕生については、幾つかの説があるが、イギリスやスペインの蒸留技術をもったものが、現地のサトウキビを原料に、蒸留酒を作ったのが最初だろう。
18世紀の三角貿易で世界に普及
18世紀に、ヨーロッパ諸国では植民地政策が盛んになっていたが、その中で、悪名高い「三角貿易」によって、ラムは世界に普及していった。
「三角貿易」とは、まず、サトウキビ栽培の労働力に、アフリカの黒人を奴隷として西インド諸島に連れて行き、次に、その船で、西インド諸島の糖蜜をアメリカのニューイングランドに運ぶ。そして最後に、その糖蜜からできるラムを積み込み、アフリカに戻って、黒人奴隷と交換するのだ。
その後、イギリス政府が、自国の植民地以外からのアメリカへの糖蜜輸入を制限し、密輸入も厳しく取り締まったため、アメリカの独立戦争の要因にもなった。そして、1808年、奴隷取引廃止令で、アメリカでのラム製造は終わる。
ラムの語源
1651年、チャールズ2世の時のイギリスの植民地記録に、原住民が飲んで興奮していた(ランバリオン-rumbullion)酒があったと記述があり、その酒は『ランバリオン』と命名された。
その後、「ラムパッション」、「ラムボーリング」、「ラムボー」などを経て、『ラム』と呼ばれるようになる。
ラムとイギリス海軍
17~19世紀、イギリス海軍は、連日、ラムを水やお湯で割って飲み、これを「グロッグ」と呼んだ。そして、飲みすぎて酔っ払った状態を「グロッギー」というようになる。もちろん、これが「グロッキー」の語源である。
ラムの種類
色による分類
- ホワイト・ラム・・・活性炭処理でクリアにしてあり、ほぼ無色透明。
- ゴールド・ラム・・・カラメルなどで着色してあり、わずかに金色。
- ダーク・ラム・・・濃褐色で、ジャマイカ産に多い。
風味による分類
- 【ライト・ラム】スペイン系植民地で発展。
糖蜜を純粋培養酵母で発酵、連続式蒸留機で蒸留し、水を加え、内側を焦がしていないオーク樽やタンクで熟成し、活性炭によるろ過で、クリアでまろやかな味わいにした。 - 【ミディアム・ラム】フランス系植民地で発展。
自然発酵の糖蜜やラムの蒸留残液やサトウキビの絞りかすを自然発酵させ、連続式か単式の蒸留機で蒸留し、樽で熟成させる。 - 【ヘビー・ラム】イギリス系植民地で発展。
製造法は、ミディアム・ラムとほぼ同じだが、内側を焦がした樽で熟成させる。